シミュレータ
元本・年利率・期間を入力すると、資本回収係数と毎年の回収額(返済額)を計算します。
計算式
年利率を i、期間(年数)を n とすると、資本回収係数は次の式で求められます。
分子分母を (1 + i)n で割った、次の形でも同じ値になります。
毎年の回収額は、元本にこの係数を掛けて求めます。
なお、利率が0%のときは分母が0になるため、係数は 1 ÷ n として計算します。
使用例
例1 : 1,000万円を年利2%・10年で回収する場合
毎年の回収額は 10,000,000円 × 0.111327 ≒ 約111万3千円です。10年間の総額は約1,113万円、利息相当額は約113万円になります。
例2 : 5,000万円の設備投資を年利5%・20年で回収する場合
毎年の回収額は 50,000,000円 × 0.080243 ≒ 約401万円です。毎年この金額以上の収益が得られなければ、投下資本を回収できない計算になります。
面白いのは、この「資本回収係数」という一つの数理モデルが、見る立場によってまったく違う顔を持つ点です。
- 借金(ローン)の視点:5,000万円を金利5%で借りて20年で返済する場合、毎年銀行に支払わなければならない「返済の足切りライン(負担)」を意味します。
- 投資回収の視点:手元の5,000万円を運用しながら、20年かけて元本と利息をキレイに回収・使い切るための「毎年のノルマ(回収ペース)」になります。
計算上、5%の利息がかかる「基準(残高)」は毎年返済や回収とともにシュリンク(減少)していくため、前半は利息の割合が高く、後半は元本の回収比率が高くなるように自動でバランスがシフトします。この「毎年一律401万円をコツコツ回収し、それをすぐに再投資に回していく」ことで、初めて20年後に元本を含めたトータルのゴール(複利の1.65倍)に到達できるという、タイムラインの裏付けになっているのです。
解説
資本回収係数とは、現在の元本を一定期間にわたって、毎年同じ金額ずつ(元利均等で)回収するときに、元本に掛ける係数のことです。ローンの元利均等返済で毎年の返済額を求める場面や、設備投資の投下資本を耐用年数で回収する場面などで使われます。
他の係数との関係は次のとおりです。
- 年金現価係数の逆数が資本回収係数です。
- 資本回収係数 = 減債基金係数 + 利率 i という関係があります。
- 期間が長くなるほど係数は小さくなり、期間が無限に長ければ利率 i に近づきます。
式の導出
元本 P を、年利率 i のもとで、毎年末に一定額 A ずつ n 年間で回収する場合を考えます。
手順1:現在価値の合計が元本に等しいとおく
k 年目末の回収額 A の現在価値は A ÷ (1 + i)k です。これを1年目から n 年目まで足したものが元本 P に等しくなります。
手順2:等比数列の和として計算する
右辺は、初項 A ÷ (1 + i)、公比 r = 1 ÷ (1 + i) の等比数列の、第 n 項までの和です。初項は Ar と書けるので、等比数列の和の公式から次のようになります。
ここで r ÷ (1 − r) を整理します。r = 1 ÷ (1 + i) なので、1 − r = i ÷ (1 + i) となり、r ÷ (1 − r) = 1 ÷ i です。したがって次の式が得られます。
右辺の分数が年金現価係数です。
手順3:A について解く
両辺を年金現価係数で割ると、毎年の回収額 A が求まります。
これが資本回収係数を元本に掛ける式の、2つ目の形です。分子分母に (1 + i)n を掛けると、1つ目の形になります。
なお i が0に近づくと、この係数は 1 ÷ n に収束します。利率0%のとき元本を n 等分すればよい、という直感と一致します。
コメント